万物
長く続いた昨日のゲリラ雷雨を経て、
今日からまた真夏がはじまる。
はっきりとした空に強い陽射し。
紛れもない猛暑だねぇー。
でも今日は、風がある。
冷たさを含んだ風が行ったり来たりし、
昨日の雨のお陰で森の土はヒンヤリしている。
蚊の羽音と痒ささえ我慢すれば......(それがなかなか大変なのですが)
森はすこぶる快適です!
森にムクドリたちが帰ってきた。
どれだけの久しぶりだろう。
三羽のハヤブサ似のツミから身を守り、
森を去って幾日だったのか。
鳥たちは、森へと帰った。
シジュウカラもいる、
コゲラが大工仕事を始めてる。
まだ遠慮がちに森を眺めているけれど、
じきに我が物顔で歩き出すさ。
また森に、
鳥たちの鳴き声が重なっていく。
でも今の主役は彼らたちじゃない。
アスファルトの陽炎を超えた先、
森のいたるところに抜け殻を残し、
木々に留まり鳴き過ごす。
蝉たちの声は、
耳元でうるさげな蚊の羽音を除けば、
森全体を包んでる。
誰もが夏を思うその鳴き声は、
きっと幾つもの命の声。
儚く逝く彼らには、
ひと夏を鳴く理は許されない。
全うして儚く落ち裏返る。
儚くにも届かず、
命の糧となり半身で転がる。
儚さが、儚い。
滅びが、尊い。
自然の摂理なのだから。
僕らは万物に従う。
でもそれが人間の摂理なら、
やがてこの林のような森も、
無くなるだろう。
森にムクドリたちが帰ってきた。
どれだけの久しぶりだろう。